企業様のプロモーション映像制作では人口集中地区(DID地区)やさまざまな規制がある所でのドローン空撮が避けれれません。
今回は函館市内にいくつもの施設がある法人様の撮影を行なってきました。
空港が隣接する函館市は空撮難易度が高い
ご依頼があったときにまず確認するのは飛行に関する規制は何が該当するか?という所です。
私はいつもDJIのGEO区域マップを確認します。
・DID
・函館空港(進入表面、水平表面)
この地図ではここまで規制が分かりますね。
そして今回は撮影箇所をGoogleMapで確認すると道路上空や路面電車の軌道上も対象、また五稜郭公園や函館山でも撮影希望があり、最終的には以下の窓口に連絡を取りました。
1.函館市
2.北海道エアポート(空港管理者)
3.北海道警察
4.函館市企業局
5.公園管理事務所
6.その他地権者様への確認(お客様を通じて確認)
関係各所への許可取り
許可取りは同時並行的に関係各所に確認して行きますが、今回の函館市は空港がありますのでまずはそこが第一優先となります。
いずれの機関に問い合わせしても空港の許可について聞かれますので、先に確認する事でその他関係各所の担当者との会話もスムーズになります。
前提条件として、国土交通省の全国包括承認を取得済みでの内容としています。
すでに過去に包括承認を取得している方で、機体認証番号(JU番号)の記載が書類にない方もいるかと思います。
この場合はJU番号も表示される書類に更新しておくと手続きがスムーズです。(番号確認されます)
・北海道エアポートへの確認
「北海道エアポート」とネット検索すると連絡先情報や申請書類が添付されています。
ちなみにこちらは函館空港のほか、新千歳空港・旭川空港・稚内空港・帯広空港・釧路空港・女満別空港も管理されていますので、北海道内での撮影時には何かとお世話になります。
実はここでストレートに問い合わせをしても良いのですが、函館空港の場合は事前にもう少し情報を得る事ができます。
それは、「函館空港高さ制限回答システム」です。
このシステムに住所を入れると制限表面の種類と規制高さが表示されます。
とっても便利ですし、飛行計画している高さと比較して規制範囲に入るのか事前に判ります。
この内容を一度確認してから実際に窓口に対応方法の確認電話をするとやりとりがスムーズです。
今回の撮影では全ての箇所は規制範囲の高度以下での飛行で計画をしており、その事を担当者へ伝えます。
可否の判定は書類にて審査すると言われ、それに絶対に記載しなければならない情報がありますので、その部分や提出の仕方、審査期間など確認してください。
書類の作成には地表からの高度、海抜高度、経路の座標、経路図が必要となりますので、作成には「国土地理院地図」を使うと情報が揃います。
このような申請書類作成にも時間と手間がかかりますので、お客様へ提出する見積書には忘れずに申請費を計上するのが良いかと思います。
・公園管理事務所への確認
お客様の要望で五稜郭公園での撮影がありましたので、こちらはまず公園管理事務所へ確認してみました。
残念ながら五稜郭公園での空撮は禁止されておりますとの回答でした。
が、これは別ルートでの確認が必要です。
それは函館市への確認となります。
・函館市への確認
今回の様な撮影内容では函館市の担当部署は観光部観光振興課(はこだてフィルムコミッション)が対応して頂けました。
撮影希望の五稜郭公園と函館山については以下の回答。
五稜郭公園→原則禁止。
但し観光PRにつながるものであれば検討の余地はある。(飛行箇所制限あり)
函館山→全面禁止。
頂上付近の電波塔がかなり強力な電波なので操縦不能などの事故に直結するので禁止。
との内容でした。
最終的には今回の撮影では上記2箇所は撮影しない事に決まりました。
・北海道警察への確認
撮影箇所を管轄する警察署への確認です。
今回の撮影箇所は函館中央警察署でしたので、代表電話に連絡し「ドローン飛行の件で警備課お願いします」で担当部署につながります。
最初に場所とが概要など聞かれ、空港の件も言われますので先に空港に問い合わせした内容を含めて回答するとスムーズです。
聞かれる内容はだいたい以下の通りかと思います。
・飛行の目的
・日時
・住所
・離発着場所
・飛行経路
・飛行高度
・許可等の有無
・機種、番号
今回の撮影は複数箇所での撮影でしたので、一覧にまとめたものをメールでお送りする形で確認して頂きました。
特に私は函館からは距離が遠いエリアにおりますので直接伺う事は難しいので、その事もお伝えしています。
事前に一度上記を確認してもらい、空港等の許可が最終で下りた内容と撮影日時確定時に更新内容を再度お送りしました。
離発着場所が道路になると道路使用許可も必要になりますので、離発着をどこで行うかも事前に決めておくと申請の抜け漏れを防ぐことができます。
・函館市企業局への確認
こちらは路面電車の軌道上での飛行に際しての確認を行なっております。
該当がなければ不要となります。
路面電車の軌道上空は電線も多いのでとても気を使います。
撮影詳細をお話ししながら安全な時間帯を確認の上計画を行いました。
メールや電話で場所と日時をお話しして許可を頂く事ができます。
撮影前日までの準備
申請関係が全て通りましたらドローンが規制区域で飛べるように準備を行います。
・ドローンのロック解除
DJI製のドローンはGEO区域マップに基づき、空港等の飛行規制エリアではプロペラを回すことができない設定になっております。
これを事前に解除申請しておかないと、撮影当日に現場であたふたと焦ってしまいます。
DJI機の場合は「ロック解除」をWEBで申請してください。
この解除申請には各種書類添付ができますので許可書類をアップロードします。
早いものだと数時間でロック解除の承認がおります。
解除承認はドローンにダウンロードして読み込ませなければなりませんので、ここを忘れずに行ってください。
日程に余裕がある様でしたら、飛行日時を前日からで申請しておいて、プロペラの起動確認(飛行はしない)だけ現地で行うとさらに安心できるかと思います。
ちなみにこの規制エリアは実施の範囲よりも余裕を持って設定されているので、実際には飛行可能エリアでも飛行禁止と出る事もありますので、規制区域に隣接する場合は解除申請を行うと良いでしょう。
・FISS登録
飛行前にFISSへ飛行エリアの登録も忘れずに行いましょう。
他のドローンが飛行する計画があるか確認できますし、飛行時に航空機接近などの情報も通知されます。
FISSは許可・承認が必要とされる飛行を行う場合での登録が必要なものですが、私は抜け漏れを防ぐため規制外飛行でも登録を行う様にしております。
撮影当日の体制
申請時にも撮影時の体制を記載しますが、通常の撮影では以下の通りの体制で行なっております。
※国交省へ申請・許可をもらっている飛行マニュアルを基本とします
・パイロット
・補助員
・ビブス、腕章着用(対外的にわかりやすいように)
・同時通話無線機(補助者との連絡)
・カラーコーン等(立ち入り禁止区画を行う場合)
申請時に撮影開始前に連絡下さいと言われる部署もありますので、そのような場合は撮影開始時に電話連絡を行ってから開始します。
また送信機のアプリ側にも高度や飛行範囲の距離制限を入れて許可エリアからの逸脱を防ぐ対応も必要です。
まとめ
今回は函館市内での空撮を例にさまざまな手続き関係について記載しました。
規制が多く、撮影はできないのではないかな?と初めは感じる事もあるかと思います。
しかしながら1つづつ確認とこちらの要望をお打ち合わせすることで撮影可能な条件というものが見えてきます。
これくらいは聞かなくても良いかな?とやってしまう自らが法を破ってしまい事件や事故につながります。
自らも安心して飛行できる環境と、お客様にコンプライアンス的な迷惑を掛けない事で次のお仕事にもつながって行きます。
実際のやりとりはここに記載している以上に細かくやっておりますが、記事内では網羅できない部分もありますので情報不足部分はご了承ください。
自分自身も今後ドローンパイロットとして活躍したい!などありましたら、私がインストラクターを行っている「一般社団法人ドローンスクール協会(JUIDA認定校)」(北海道札幌市)ではこのような実務経験を踏まえて講習を行っておりますのでお気軽にお問合せください。